夢のマイホームを購入、その資金計画の要と言えば住宅ローンではないでしょうか。
しかし、いざ住宅ローンを組もうとすると、「変動金利と固定金利、どちらを選べばいいの?」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
金利タイプの選択は、十年単位の長い期間にわたって支払うことになる月々の返済額、そしてローンの総支払額に大きな影響を与えるため、非常に重要な判断になってきます。
この記事では、それぞれの金利タイプの特徴やそのメリット・デメリット、そして賢い選び方のポイント、さらには住宅ローンの借り換えについても分かりやすく解説します。
1. 変動金利と固定金利、それぞれの特徴
まずは、変動金利と固定金利がどのようなものか、その基本的な特徴を理解しましょう。
変動金利型
変動金利型住宅ローンは、その名の通り、市場金利の変動に合わせて金利が見直されるタイプです。一般的には半年に一度金利が見直され、返済額は5年に一度見直されることが多いです(5年ルール)。
メリット
- 低金利でスタートできる可能性が高い
固定金利に比べて、当初の金利が低く設定されていることが多いです。 - 市場金利低下の恩恵を受けられる
金融情勢が低金利方向に推移すれば、返済額が減少する可能性があります。
デメリット
- 金利上昇のリスク
市場金利が上昇すると、返済額が増加するリスクがあります。 - 将来の返済額が不透明
金利の変動によっては、将来の家計計画が立てにくくなる可能性があります。
※「5年ルールと125%ルール」 5年ごとの返済額の見直しには「5年ルール」、その見直しによって返済額が1.25倍(125%)を超える場合はそれ以上は上がらない「125%ルール」といった上限が設けられていることが多いですが、これはあくまで「毎月の返済額の上限」であり、金利が上がり続けた場合は元金が減らず、未払い利息が発生したり、最終返済時に残債が一括請求されるリスクもあります。
固定金利型
固定金利型住宅ローンは、借り入れ期間中、または一定期間(例えば10年間など)金利が変動しないタイプです。
メリット
- 返済計画が立てやすい
金利が変わらないため、毎月の返済額が一定で、将来の家計計画を確実に立てることができます。 - 金利上昇リスクがない
市場金利が上昇しても、返済額は変わりません。
デメリット
- 変動金利より金利が高い傾向がある
当初の金利は、変動金利に比べて高く設定されていることが多いです。 - 金利低下の恩恵を受けられない
市場金利が低下しても、返済額は減りません。
2. 賢い金利タイプの選び方
では、あなたにはどちらの金利タイプが合っているのでしょうか?
以下のポイントを参考に検討してみましょう。
こんな人は「変動金利型」がおすすめ
- 金利上昇リスクを受け入れられる方
ある程度の金利上昇があったとしても、家計に大きな影響が出ないくらいの余裕がある方。 - 積極的に情報収集できる方
金融市場の動向にアンテナを張り、必要に応じて借り換えなどの対策を検討できる方。 - 短期間で完済予定の方
借り入れ期間が短い場合、金利変動の影響を受けにくいため、低金利の恩恵を最大限に享受できます。 - 貯蓄に余裕があり、繰り上げ返済を考えている方
金利が上がっても繰り上げ返済で対応できる資金がある場合。
こんな人は「固定金利型」がおすすめ
- 将来の返済計画を確実に立てたい方
毎月の返済額が変動しない安心感を重視する方。 - 金利上昇リスクを避けたい方
金融市場の動向に不安を感じる方や、金利上昇による家計への影響を避けたい方。 - 子育てなど、支出が増える時期と重なる方
毎月の支出を安定させたい時期に安心感があります。 - 長期の借り入れを考えている方
返済期間が長いほど、金利変動の影響が大きくなるため、固定金利でリスクを抑えることが有効です。
3. ミックス型・固定期間選択型という選択肢
上記以外にも、変動金利と固定金利を組み合わせた「ミックス型」や、当初数年間は固定金利で、その後は変動金利に移行する「固定期間選択型」など、様々な商品があります。
- ミックス型
住宅ローンを2本組み、それぞれ変動金利と固定金利を選択する方法です。リスク分散を図ることができます。 - 固定期間選択型
3年、5年、10年などの一定期間は金利を固定し、期間終了後に変動金利か再固定金利を選択するタイプです。当初の金利上昇リスクを抑えつつ、将来の金利状況を見て判断することができます。
ご自身のライフプランやリスク許容度に合わせて、これらの選択肢も検討してみましょう。
4. 借り換えのポイント
住宅ローンは一度組んだら終わりではありません。金利状況の変化やご自身のライフステージの変化に合わせて、借り換えを検討することで、総返済額を大幅に減らせる可能性があります。
借り換えを検討するタイミング
- 現在の金利と借り換え後の金利差が大きい場合
一般的に、金利差が1%以上あると借り換えメリットが出やすいと言われます。 - 残債が多い・残りの返済期間が長い場合
残債が多いほど、金利差によるメリットが大きくなります。 - 団信を見直したい場合
より保障内容の充実した団体信用生命保険に加入したい場合も借り換えのきっかけになります。
借り換えに必要な費用
借り換えには、新たな住宅ローンの諸費用(事務手数料、保証料、印紙税など)や、現在の住宅ローンの繰り上げ返済手数料などが発生します。これらの費用を差し引いてもメリットがあるかを、シミュレーションして確認することが重要です。
5.「得か損か」だけでない、住宅ローン金利の賢い選び方
私たちは、お金のこととなると、どうしても「どっちが得なのか?」という視点で考えてしまいがちです。もちろん、その考え方自体は悪いことではありません。
しかし、住宅ローンのように数十年にわたる超長期の借り入れを考える場合、「金銭的にどちらが得か」という視点だけで判断するのは、実はあまり賢明ではありません。
なぜなら、金融や経済の環境は、たとえ数年先でさえも私たちが正確に予測できるものではないからです。「どちらが得か」と考え始めると、どうしても不確実な未来を予測しようとしてしまい、かえって判断を誤る可能性があります。
予測できない金融・経済状況に対応するためには、正確な未来予測を試みることよりも、「どんな状況になっても対応できる」状態を整えておくことがはるかに重要です。
つまり、住宅ローンの金利タイプを選ぶ際には、ご自身のライフプラン、現在の貯蓄状況、そして将来の収入見込みなど、あなたの「資金の状況」に合わせて最適な選択をすることが何よりも大切です。
もし、ご自身での判断が難しいと感じたら、ぜひファイナンシャルプランナーにご相談ください。あなたの状況に合わせた最適なアドバイスいたします。