最近、相談者からの質問で、聞くことが増えた『高配当株投資』って?

高配当株式投資とは、配当利回りが高い銘柄に好んで投資をする株式投資のことです。

また、配当金とは、株式を保有していると貰えることがあるお金のことで、その原資は企業が事業を行って得た利益から出ています。つまりは、企業によって業績が違うように、株式によって、受け取れる金額も変わってくるので、配当金がゼロもしくはほとんどない企業や、逆にたくさんの配当金を出す企業もあります。

また、配当利回りとは、株価に対して、どのくらいの配当金が出ているかを見る株価指標のことを言い。つまりは、私たち投資家が支払ったお金(株価)に対して、どのくらいの(何%)の配当金を受け取ることができるのだろうかということを意味しています。

実は、配当利回りが何%以上の株式を高配当株と言うのかについては、明確な基準がありません。ですが、一般的には、3.5%〜4%を超えてくると、魅力的な水準だと意識されることが多くなってくるようです。

株式投資で配当利回りが高めの銘柄を中心に投資をすることのメリットとしては、定期的なインカムゲインがある事のほかに、株価が大きく下落する時には、変動幅を小さく抑える効果が期待されています。

なぜなら高配当株には、配当金というわかりやすい利益があるので、株価が暴落する時には、高配当株のような配当金の出る銘柄は、かえって好まれるようになる傾向があるという話です。

それに、あくまで個別銘柄ではなく市場全体での話にはなりますが、もし経済ショックなどで株価が大暴落をしたとしても、配当金の額については、それほど大きくは落ち込まない傾向があるとも言われています。

つまり、暴落時など株価が大きく下落した時に、配当金を使って再投資をすることで、下落期からの回復局面で、大きなリターンが狙えるようになる効果もあると言います。

つまりは、高配当株式投資は、変動が比較的安定的にありながら、配当金の再投資による高リターンが得らえる可能性もあるという話です。

インデックスファンドと高配当株式投資

インデックスファンドといえば、日経平均株価やS&P500などの株価指数に連動するものが有名です。

しかし、これらの株価指数の多くは、配当利回りがそれほど高くないことも多く、高配当株式投資のような、高いインカムゲインはあまり期待できません。

また、ほとんどのインデックスファンドでは、インデックスファンドが投資している先からの配当金については、ファンド内で再投資に使われていることも多く、インデックスファンドを購入している投資家には、インカムゲイン収益がないことも多くなっています。

しかし、それでもインデックスファンドが世間で推奨されているのには、インデックスファンドならではの利点があるからです。

まずインデックスファンドには、高配当銘柄など銘柄選別のための労力が全く必要ないことです。運用に手間がかからないという事は、それだけ運用にかかるコストを減らすことにつながります。

資産運用では、そのリターンを、運用にかかるコストによって、その分マイナスしてしまっていると言われています。

投資や資産運用では、不思議なことに、コストをかければ、いいものができるということがほとんどなく。そのため、投資や運用にかかるコストは、徹底的に下げるのが良いというのが、今では常識となっています。

インデックスファンドの大きな利点は、まさにそこにあります。インデックスへの連動を投資の方針とすることで、コストを極力下げた運用ができる仕組みを持っています。

運用コストを徹底的に下げることで、市場全体のリターンをそのままそっくり取りこぼすことなく手にすることができる。本当に素晴らしいコンセプトの金融商品だと感じます。

対して高配当株式投資の場合は、自分で高配当株を探したり、投資信託で高配当株式に投資をしたりすることで、労力とコストが増大する傾向があります。

特にコストに関しては、自分で高配当株式を選別し個別銘柄に投資をするのならまだしも、高配当株式に投資をする投資信託を選ぼうとすると、一般的なインデックスファンドよりも、運用にかかるコストが大きくなる傾向があります。

結果的には、そのコストが増えた分だけ、高配当株式のメリットが相殺されてしまっている可能性もあります。

高配当株式投資は、ある程度運用ノウハウを身に付けてから?

定期的に魅力的なインカムゲイン(配当金や分配金など)があるというのは、個人投資家にとってはとても魅力的です。『高配当株式投資』という言葉に、心が惹かれてしまう気持ちもよくわかります。

しかし、様々な本の中でも、必ずしも「高配当株式=高収益」とはなっていないことを、過去のデータなどから説明しているのをよく見かけます。

株価が上がるための企業の成長力という視点では、高配当株式もしくは高配当を実施している企業は、配当金を出さない企業より分が悪くなります。

成長力が高い企業の場合、配当金を出すよりも、企業の利益はすべて事業拡大のための投資に回した方が、資金効率もよく、より大きく成長していく傾向がみられます。

つまりは、株価の上昇もしくは資産価値の上昇という視点では、高配当であることは投資する理由にはならないというわけです。

結果、高配当という理由だけで投資をする投資スタイルは、時価総額加重平均型のインデックスファンドのパフォーマンスに劣ることになる。というのが、現実的な答えと言えるのかもしれません。

しかし、高配当株のメリットやデメリットを理解した上で、効果的に利用できる人には、高配当株投資は悪くない選択肢になるとも思っています。

たとえば、景気循環的に株式相場が軟調な時には、高配当株式投資は有効な手段となる事があります。景気のサイクルに合わせて、投資先を柔軟に変えられる人であれば、ありなのかもしれません。ただこれは、いうほど簡単なことではありませんが。

また、資産価値の増加を必要としていない人も、高配当株式投資を行う意味があるのかもしれません。

株価の変動に関係なく、今ある資産(お金)を活用して、ある程度安定したインカムゲインが欲しいという場合です。

もし、高配当株式投資よりもインデックスファンドの方がパフォーマンスが良かったとしても、ほとんどインカムゲインのないインデックスファンドでは、現金として使えるようにするためには、定期的に売却していかなければならなくなります。

しかし、この売却するというのが、買うことよりも難しいと感じる局面も多くて、結局売らずにただ保有しているだけとなる可能性も高いと感じています。

その点、高配当株式投資(自分で行う個別銘柄投資)であれば、資産価格が上昇しなかったとしても、定期的に受け取れる配当金収入を銀行口座などで受け取るようにすることで、生活費の足しとして使いやすくなったりします。

しかしそれには、定期的な投資先の見直しや、運用資金の管理など、最低限の運用スキルを身に付けることは必須のことになるかと思われます。